大切な文書の翻訳。 セキュリティは大丈夫?
皆さまこんにちは、
日本翻訳センターのRです。
今年も暑さの厳しい夏でしたが、
9月も下旬となり、いよいよ秋の気配が感じられるようになってきましたね。
さて本日は「翻訳とセキュリティ」についてお話ししたいと思います。
翻訳したい文書があるとき、
とりわけその内容に機密情報や個人情報が含まれている場合など、
ウェブのAI翻訳を使うことに躊躇される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、翻訳会社に依頼する場合にも、一抹の不安が残るときがあるかもしれません。
このブログが、そのような不安を取り除く一助になりましたら幸いです。
1. 翻訳とセキュリティ
2. ウェブ版の無料AI翻訳を使うときの注意点
3. 翻訳会社の選び方
4. 翻訳を依頼するときは
5. 翻訳終了後は
6. おわりに
1. 翻訳とセキュリティ
翻訳とセキュリティには密接な関係があります。
例えば、「原稿の翻訳」をしたかっただけなのに、以下のようなことが起こったらどうでしょう?
・原稿や翻訳された内容が、知らないところでデータとして蓄積された
・関係のないところへ漏えいした
大問題です。
しかし残念ながら、
そのようなことは同意(気づかないうちの)の上であれ、故意であれ、事故であれ、起こりうることなのです。
少々怖いトーンになってしまいましたが、ご心配なく。
押さえるべきポイントを押さえれば、リスクはほぼゼロに抑えることができます。
2. ウェブ版の無料AI翻訳を使うときの注意点
まず、皆さまも割と気軽に利用されるであろう「ウェブ版の無料AI翻訳」を使うときの注意点についてお話しします。
ウェブ版のAI翻訳と言えば、無料のGoogle翻訳やDeepL翻訳がポピュラーです。
ちょっとした文章や、メール文をざっと翻訳するのにとても便利ですね。
ただ、その文章に
会社や個別案件についての詳細な情報や、公開前の機密情報、個人情報などが含まれている場合は
重々お気を付けください。
いえ、むしろご使用をお避け下さい!
ウェブ版の無料AI翻訳を使用すると、
直ちにどこかへ情報漏えいし、被害を受けるわけではありません。
しかし、ウェブ版のAI翻訳を提供している会社は、
「取得した(アップロードされた)情報をサービス向上やサービス開発を目的に利用する」という趣旨の内容を、
規約に明記しています。
つまり、その文章がサーバーに残され、利用され得るということです。
一方で、これは当然のことでもあります。
AI翻訳というのはそもそもそのようにして発達しています。
簡単に言うと、既にある文章とその対訳をどんどん増やしていき、
AIが学ぶことで精度を上げていきます。
使用される文章は「使用許可」を得ているはずですので
お使いのサービスの規約を見てみると良いかもしれません。
つまり、無料のAI翻訳に使用された文章は、
そのエンジンの性能向上や開発に使われます。
では有料サービスの場合はどうでしょう?
有料版のサービスでは、このアップロードした文章が自動的に流用されることは無いようです。
やはりセキュリティ上の懸念点があるということですね。
AI翻訳をビジネス利用したい方は、有料版の方が安心できそうです。
(サービス内容は提供企業により違いがあると思いますので、契約前にしっかりご確認を。)
セキュリティのお話とは離れますが、AI翻訳の精度についてのブログもありますので、
ご興味があればぜひお読みください。
機械翻訳にも、向き不向きはあるの?
3. 翻訳会社の選び方
無料のAI翻訳のリスクはわかった。
それならちゃんとした翻訳会社に頼めば大丈夫なんでしょ?
はい、「ちゃんとした」翻訳会社をお選びください。
ここで言う「ちゃんとした」は、「セキュリティ対策がしっかりしている」という意味です。
まず、翻訳会社におけるセキュリティの確認ポイントは、大きく2つあると考えます。
① 個人情報保護方針(プライバシー・ポリシー)をウェブサイト上に公開している
② プライバシーマークやISOなど情報セキュリティに関する認証を取得している
①しばしば誤解されがちなのですが、
個人情報保護方針(プライバシー・ポリシー)の自社ウェブサイト上での公開は、
個人情報保護法で義務付けられてはいません。
しかし、個人情報保護方針(プライバシー・ポリシー)は
個人情報保護法で義務付けられている事項について、どのように対応しているかの指針であり、
翻って協力企業を選ぶ立場からの指針にもなり得ると考えます。
これは翻訳会社に限らないことですので、協力企業を選定される際には気にしておくと良いでしょう。
②は必須ではありません。
プライバシーマークやISOなどの認証を受けていないからといって
「セキュリティ対策をしていない」わけではありません。
ただ、①に形式的にのみ対応している会社もある一方で、
これらの認証を取得している企業は、
労力をかけて全社的に情報セキュリティのマネジメント・システムを構築・維持しており、
定期的な社内外の監査を受けています。
さらに、認証機関はサイバーセキュリティについての最新情報を持っていますので、
認証取得企業に対して適切な情報提供や講習などもあります。
認証更新の際には最新の脅威への対策についての質問や、必要に応じた対応を要求することもあるでしょう。
また、これらの認証取得には、定期的な従業員教育と認識度の確認が必要とされます。
実務上の情報セキュリティには、現場スタッフの認識の高さが大きく関係しますので、
その重要性はお分かりになられるかと思います。
①だけではもう一つ信頼性が見えないな、という場合はぜひ参考にしてください。
一般公開前の情報や機密を含んだ内部資料、個人が特定できるようなドキュメントの翻訳には、
安心して任せられる翻訳会社を選びたいですね。
4. 翻訳を依頼するときは
さて、ウェブ版AI翻訳の適切な使い方や、
安心して頼める翻訳会社選びのポイントなどはお分かりいただけたと思います。
この章では、大事な文書や原稿を翻訳会社に預けるときの注意点をお話しします。
まずは翻訳を依頼する前。
皆さまが企業に所属していらっしゃるのであれば、企業間のお取引になります。
翻訳発注にあたっては、翻訳会社と必ず機密保持・秘密保持条項を含んだ契約を取り交わしてください。
内容は預けたい翻訳原稿の性質や、案件の大きさ、継続性等により変わるでしょう。
特に決まった契約書が無ければ、翻訳会社もフォーマットを持っていますので、
それを元にカスタマイズすると良いでしょう。
セキュリティを担保するという意味はもちろんのこと、良い関係で継続した取引をするためには必要ですね。
次に実際に原稿を渡すとき。
概要だけ伝えて見積もりを依頼することもあると思いますが、
実際の文書を翻訳会社のスタッフへ送り、現物で正確な見積もりを依頼する場合が多いと思います。
そのような時は、
確認のためにも書類の重要性(どの程度の機密情報か、個人を特定できる情報が含まれているか)を
お伝えください。
データならパスワードロックはぜひ毎回お願いしたいところですが、
文書の共有サービスを使用したほうが良い場合もあります。
紙媒体であれば、
文書は追跡ができない方法で紛失すると戻ってこない可能性もありますので
記録の残る送付方法(宅配便や、レターパックなど)でお送りいただくのがベストです。
懸念点、不明点は遠慮なく、クリアになるまで担当者にお聞きください。
5. 翻訳終了後は
いよいよ翻訳が上がってきました。
内容をご確認いただいて、問題が無ければ翻訳会社はお客様にご請求し、取引は一旦終了です。
ですがここで、もう一つ大事なことがあります。
預けた原稿の削除依頼です。
翻訳のために翻訳会社に預けた原稿は、データの場合も紙媒体の場合も、削除や返却などの確認をしましょう。
しばらくは翻訳会社の方で残しておいてほしいという場合、そのように依頼すれば保管されますが、
そうでなければ終了データは一定期間を過ぎるとそれこそ
「漏えい防止対策」として削除や廃棄されるのが通常です。
最後にもう一息、ぜひ「原稿の削除」までご確認ください。
6. おわりに
大切な文書をウェブ版AI翻訳で翻訳するとき、
また翻訳会社へ預けるときの注意点などを大まかにお話しいたしました。
残念なことではありますが、
情報セキュリティは、いくら対策をしてもリスクが無くなることはありません。
その対策として、個人情報保護や情報セキュリティの認証では、
「できる限りの対策をして、それでも残るリスクは何か」を明確にします。
世の中には便利なツールがあふれ、どんなデータも瞬時に地球の裏側、いえ宇宙空間にまで送信できます。
その一方で、それらを使用する人間のヒューマン・エラーは残ります。
さらに近年は攻撃型メールもあり、
それこそ無料のAI翻訳により言葉の壁が低くなってきた日本への攻撃が格段に増えているそうです。
メール攻撃急増8.5倍 サントリーは最新手法を模擬訓練: 日本経済新聞
また恐ろしげなトーンになってしまいましたが、
1.章でお話ししました通り、
「押さえるべきポイントを押さえれば、リスクはほぼゼロに抑えることができます」。
ぜひぜひ、懸念点を払しょくして
ウェブのサービスや翻訳会社を利用し、ビジネスにお役立てください。
日本翻訳センターでは、
JIS Q 15001個人情報保護マネジメントシステムに準拠し、プライバシーマークを付与されています。
どうぞ安心してご利用ください。
おわり
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