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豆知識 2023.05.26

ご存じですか?英文ライティングのルール3

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皆さんこんにちは、日本翻訳センターのMです。

私は長年和文英訳のチェックをしてきましたが、
どのような書き方が正解なのか
自信をもって判断することができずモヤモヤすることがあります。

和文版でそう書いてあるのに、なぜ英語版ではそう書かないのか…
この単語の表記は、英語ではこう書くべき…
でもそれって本当なの? 
どこかに書いてあるの?

それらの疑問を解決すべく参考資料にあたりながらまとめてきたのが
過去2度に渡り掲載してきた
「ご存知ですか? 英文ライティングのルール」シリーズです。

ご存じですか?英文ライティングのルール2
ご存知ですか? 英文ライティングのルール

これが意外にもよく読まれていることが判明しました(笑)。
私と同じようなモヤモヤを抱えている方が多いということなのでしょう。

好評につき、
英文ライティングのルール第3弾をお届けします。
今回は、以下の3点についてまとめてみました。

1. 見出し
2. インデント
3. マクロン(長音符)

それではさっそく見ていきましょう。

ご存じですか?英文ライティングのルール3

1. 見出し

日本語の報告書などの文書で、
見出し部分を【 】で括ることがよくありますよね。
この括弧記号は英語の文章では使用すべきではないことをご存知ですか?

理由は簡単で、
英語にはこういう括弧が無いから。

では、【 】を使用せずに見出しであることを表すには、どうするか?

次のような表記が良いと思います。
1. Response Measures in the Event of a Major Incident
2. Response measures in the event of a major incident
3. Response measures in the event of a major incident

1番は冠詞や前置詞を除き各単語の先頭を大文字で表記するスタイル(タイトルケース)
2番は太字にしたもの
3番は斜体にしたもの

いずれも見出しのスタイルとして、おすすめできるものです。

仕事柄多数の言語を目にしますが、見出しに【 】を使用するのは
日本語だけのように思います(そもそも外国語にはこういう括弧はないですね)。

英文の見出しに日本語の【 】を使用するのは、避けたいものです。

2. インデント

段落の開始位置を分かりやすくするために字下げすることを
インデントと言います。

日本語では書き出しで1字分字下げしますが、
英語では1字分を字下げすることはありません。

スタイルガイドにより違いはありますが、
英語では5文字分程度下げるのが一般的なようです。

日本語ファイルを英訳する際に、
日本語と同様に1字分字下げする方がいらっしゃいますが、
正統的なスタイルではありませんのでおすすめできません。

字下げしないスタイルを、ブロックスタイルといいます。
字下げの代わりに段落の切れ目に改行を入れることで、
段落の切れ目を分かりやすくしています。

EメールやSNSで文章を書くことが多くなった現在、
ブロックスタイルを採用する方が優勢になってきているように思います。

一方、報告書や論文など格式が求められる文書では
インデントスタイルが良いとされているようです。

あらかじめ書式の指定がある場合は、それにしたがって書くのが当然ですが、
指定が無い場合は、文書の用途、格式に合わせて
一貫性のあるスタイルで書くことが大事かと思われます。

豆知識ですが、中国語では全角で2文字分字下げするのが正式なルールです。

3. マクロン(長音符)

東京をTokyoと書くのかTōkyōと書くのか。

どちらが正解なのかスッキリしませんよね。

この疑問に対する一つのガイドラインとして
観光庁が出している
地域観光資源の英語解説文作成のためのライティング・スタイルマニュアル』が
役立ちます。

これによると
「原則として、人名や地名を含めて日本語のローマ字表記にはマクロンは使うべきではない」
とあります。

その理由として、
日本語の発音を正しく表すために使用されるマクロンですが、
日本についてほとんど知識のない外国人にとっては
発音の区別は重要ではないと考えられるから、としています。

その一方で、
「マクロンによって日本語での正しい読み方が伝えられることは、
提供する情報の質を高め、読み手がその言葉を耳にする際
その言葉を使って質問したり自分の経験を話したりする際に役に立つ
ともあります。

結論として、
一般的な用途の場合は原則マクロンを使用せず、
学術的・専門的な内容で、
発音に正確性も持たせることが大きな意味を持つ場合は、
使用しても良いということのようです。

ちなみに、ボストン美術館、メトロポリタン美術館、大英博物館などでは、
日本作品のコレクションについてのカタログや解説に
マクロンが広く使用されているそうです。

なお、冒頭の東京の表記についてですが、
JR東日本では路線図や駅構内の表示に
Tōkyōを使用しており、
その他の鉄道事業者ではTokyoの表記を
採用しているようです。

マクロンを使用した表記はいささか古めかしいと感じるのは
私だけではないと思います。

JR東日本もそろそろTokyoの表記にしてはどうかと思いますが、
昔から使用している表記は簡単には変えられないということでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

今後も英文をチェックしている時のモヤモヤを書き溜めて
皆様にご報告できればと思っています。

おわり

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