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豆知識 気ままブログ JTC ブログ 2024.10.25

「豚骨」ではない方の「とんこつ」?  
~Oxford English Dictionaryの日本語を調べてみた~

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皆さまこんにちは。
日本翻訳センターのRです。

突然ですが皆さま、「とんこつ」という言葉をご存じでしょうか?
スープやラーメンでおなじみのあの「豚骨」ではない方の。
私は知りませんでしたが、「とんこつ」とは、
昔のたばこ入れの一種で、木や金属といった堅い素材で作られたものだそうです。


「彩色象牙とんこつ腰差したばこ入れ」
たばこと塩の博物館ウェブサイトより
参考:https://www.tabashio.jp/exhibition/web_exhibition/02/index3.html

写真を見ますと、見覚えがありますよね。
しかしこの「とんこつ」という言葉は、日本でもご存じない方の方が多いのでは
ないでしょうか。
実はこの言葉、2024年に英国のOxford English Dictionaryに新出しました。

東京外国語大学の教員の方々が選定に関わり、
権威ある辞典に新たに23の日本語由来の語が追加されたそうです。
https://www.tufs.ac.jp/NEWS/research/240402_1.html

こちらの記事中には、明確に『tonkotsu(とんこつ)*昔の「煙草入れ」の「とんこつ」』と記載がありますが、それを読んでも??はぬぐえず、
きちんとOxford English Dictionaryにあたりましたよ。どうぞ。
https://www.oed.com/dictionary/tonkotsu_n1?tab=meaning_and_use#1416010440
「豚骨」ももちろんエントリーしています。
https://www.oed.com/dictionary/tonkotsu_n2?tab=factsheet#1424389900

日本の「たばこ入れ」という言葉はエントリーしておらず、
世界中にあるであろう「tobacco case」は有りました。

日本の数ある言葉の中から、なぜとんこつが選ばれたのか…?
とても気になりますが、ここはもう少しライトに、
他の日本語由来の言葉を調べてみることにします。

「豚骨」ではない方の「とんこつ」?
 ~Oxford English Dictionaryの日本語を調べてみた~

目次
1. Oxford English Dictionaryとは?
2. ほかにはどんな日本語が?
3. OEDの日本語由来の言葉はどのように選定される?
おわりに

1. Oxford English Dictionaryとは?

そもそも、Oxford English Dictionary(オックスフォード英語辞典、略してOED)とは
どのような辞典なのでしょうか。
いわゆる「英英辞典」ですが、日本の国語辞書にあたります。

1857年に編纂が始まり、英国のオックスフォード大学出版局が刊行している辞典で、
50万語を載せた英語辞典という役割だけでなく、
世界に広がる英語圏の言葉の語源や過去や現在の用例などが膨大に掲載されています。
そして、その中には英語化された日本語も含まれているということですね。

日本でも、主にカタカナで外来語が使用されていますが、
あくまでも外国の言葉という意識ですよね。
その一方で、英語圏ではアルファベットしか使いません。
日本語も一旦定着すると、「日本語由来の英語」になるというのは興味深いですね。

2. ほかにはどんな日本語が?

さて、ではほかにはどのような日本語が掲載されているのでしょうか。
日本語由来の言葉の掲載数はすでに500以上だそうです。

これまでは、例えば歌舞伎、相撲、侍、茶の湯など
日本固有の文化に関わるような単語が多かったようですが、
今年のエントリーには食べ物の名称が多いことが特徴です。

インバウンドの活況で、より多くの外国人観光客が日本の食に触れ、
日本食が広がったということがあるようです。

例:okonomiyaki, onigiri, takoyaki, tonkatsu
食以外では、mangaka(漫画家), tokusatsu(特撮),shibori(絞り),
santoku(三徳),washi tape(和紙テープ)など。
(三徳と和紙テープも少々引っかかります…)

明治維新から第二次大戦前、そして戦後など、
時代背景を照らし合わせながら、
時代ごとのエントリーなどがわかるとまたおもしろそうですね。

ちなみに、日本と西洋が出会った最初期の頃、
フランシスコ・ザビエルや三浦按針の書簡には、
shogun(将軍)、kami(神)、samisen(三味線)、tabi(足袋)、tatami(畳)などが
登場しているとのこと。

歴史を感じますね。

3. OEDの日本語由来の言葉はどのように選定される?

少々腑に落ちないところもある日本語のチョイスですが、
掲載される言葉はどのように選定されているのでしょうか。
OEDのウェブサイトによると、以下のようなプロセスがあるようです。
① OED独自の読書プログラムや一般からの情報提供、膨大な言語データの自動解析などが用いられ、まずは「ウォッチリスト」に登録される。
② 広範囲かつ持続的に使用されている単語は編集者に割り当てられ、十分にエビデンスがない言葉は引きつづきウォッチされる。
③ 編集者は、新聞、オンラインフォーラム、学術論文、SNSなど多様な情報源から単語の使用例を探し、重要な例を探し出す。
④ 単語の発音、語源、定義、使用例をまとめ、辞書のエントリーを作成。
発音や引用の正確性については専門チームが確認し、
最終的にチーフエディターによる承認を経て公開される。

「とんこつ」もこのような厳密なプロセスを経て、エントリーに至ったのですね。

あまりに気になるので、‘tonkotsu’ ‘tobacco’で外国語ページを検索してみました。
確かに英語ページが出てきます。
主にミュージアムや、オークションハウス、アンティークディーラー等が多い。

つまり海外では、私たちが思うよりずっと「とんこつたばこ入れ」は
骨董品・美術品としてメジャーなのかもしれません。
もはや「とんこつ=たばこ入れ」なのかもしれません。
他のたばこ入れの素材としては、布や織物、竹や籐製のものが多いようですが、
美術品としての価値が高く、また壊れづらいのはとんこつタイプだったのかもしれませんね。
そのような理由から、海外へ多く持ち出されたり、輸出されたりしたのでしょう。

私の推測の域を超えませんが、個人的にはこれでかなりスッとしました!

おわりに

スッとしたところで、Oxford English Dictionaryにからめて英語学習のコツを一つ。
英語の語彙力を高めたい、読解力を高めたい方、
ぜひ英英辞書を使ってみてください。

OEDのような凄い辞書でなくてよく、
例えばOxford Advanced Learner‘s Dictionaryや
Collins COBUILD Advanced Learner’s Dictionaryなど
学習者向けが良いと思います。

はじめのうちは、「英語のわからない単語を調べたのに、
そこに書いてあることがわからないよ!」とイライラするかもしれません。
でも英和辞典も併用して、がんばって英英辞典を「読んで」みてください。
多くの言葉に触れるだけでなく、
短い説明文や引用文も読めるメリットがあり、おすすめです。
いつかきっと、「割とわかる…」になっていると思いますよ!

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最後までお読みいただきありがとうございました。

おわり

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