MTPE(機械翻訳のチェック)とは
皆さんこんにちは。
日本翻訳センター営業企画部のMです。
「社内で翻訳したものをチェックだけ御社にお願いできますか?
機械翻訳を部分的に自分で修正したものなのですが・・・」
といったご質問をよく受けるようになりました。
このような作業を翻訳業界では
MTPE(機械翻訳のチェック)と言い、
当社でも対応が可能です。
本ブログではMTPEについて掘り下げてご説明いたします。
MTPE(機械翻訳のチェック)とは
・MTPE(機械翻訳のチェック)とは
・機械翻訳に適したものと適していないもの
・ライトエディットとフルエディットの違い
MTPE(機械翻訳のチェック)とは
機械翻訳で生成した訳文を人の目で修正することを
翻訳業界では、「MTPE」(Machine Translation Post Editing)や
「ポストエディット」と呼んでいます。
本ブログでは以降、PEと呼ぶことにします。
さて、ChatGPTやDeepLに代表される機械翻訳(AI翻訳)の
性能の進歩には驚かされますよね。
一昔前に比べて格段に自然な訳が無料で手に入るようになった現在、
翻訳会社に外注していた翻訳を内製化しているお客様も多いことと存じます。
多少分かりにくい部分や誤りがあっても
内々で使用する分には機械翻訳でOK。
でも、取引先に提出するものや対外的に公表するものは、
きちんと専門家にチェックしてもらわないと不安、
という方が多いのではないでしょうか?
機械翻訳が間違いだらけだったというニュースも枚挙にいとまがありません。
2024年5月15日読売新聞オンライン
AI翻訳が頼りの京都の外国語案内表示、1割強でミス発覚
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240515-OYT1T50136/2/
2021年12月19日WASHINGTON (AP)
スペイン語のラベルミスで粉ミルク460万缶回収
https://www.tahoedailytribune.com/news/4-6-million-cans-of-formula-recalled-over-spanish-label-error/#:~:text=WASHINGTON%20(AP)%20%E2%80%93%20Mead%20Johnson,health%20problems%20and%20even%20death
2021年4月3日東京新聞TOKYO Web
外国語表記 チェック体制を 浦安市多言語検証委が報告書
https://www.tokyo-np.co.jp/article/95567
誤った情報のまま多くの人の目に触れる場所に掲示されたり、
製品が市場に出回ったりすれば、
取り返しのつかない事故や信用問題につながることも。
機械翻訳の精度が格段に向上した現在でも、やはり、
訳文を人の目でチェックする工程(PE)が欠かせません。
機械翻訳に適したものと適していないもの
機械翻訳には適した文書とそうでないものとがあります。
書き手の意図を十分に汲んで適切な訳語を充てようと努力する人手翻訳に比べ、
機械翻訳ではまだその域には達していないため、
意味を取り違えたり、不適切な訳を充てたりする場合があります。
特に以下の特性を持つ文書は苦手とされています。
・創作性の高い文芸的なもの
・情緒的、書き手の意図を汲み取る必要のあるもの
・主語・動詞・目的語の省略が目立つもの
・言葉の係り受けが不明確なもの
・はやり言葉を含んだものや口語的なもの
逆にある程度、決まった言い回しが好まれるものや、
主語、動詞、目的語等の係り受けが明瞭なものは、
機械翻訳に向いているとされています。
当社でも主に以下のジャンルを中心にPE業務をお請けしております。
ライトエディットとフルエディットの違い
機械翻訳で生成した訳文をどの程度まで修正するかを業界では、
ライトエディットとフルエディットという呼び方で区別しています。
ライトエディットは、誤訳、抜け・漏れ、
文法やスペリングなどの
最低限のミスのみを修正します。
文章の内容把握や社内向けの参考資料として使用するなど、
品質よりもコストやスピードを重視される場合におすすめです。
フルエディットは、人手による翻訳をした場合と
ほぼ同等のクオリティにするためのチェックです。
社外向けの提出資料や、特に品質を重視したい書類の場合には、
フルエディットがおすすめです。
以下の具体例で、ライトエディットとフルエディットの仕上がりの
違いを見てみましょう。
赤字部分が書き変えた部分を表しています。
原文
When I arrived at Kenshoji, Suzuki-san was dressed in athletic pants and a sweatshirt. He gave me a strong handshake and a warm smile. You could immediately sense his charisma—even the stray cats kept in tow, following him around the temple grounds.
もちろん、ライトエディットとフルエディットでは
PEに係る時間が変わってきます。
ライトは概ね人手翻訳に比べ30~40%ほど作業時間が短縮でき、
フルの方は10~30%ほど短縮できると言われています。
機械翻訳の魅力はその圧倒的なスピード性にありますから、
文書の使用用途に合わせて上手にライトエディットとフルエディットの
使い分けをされると良いと思います。
後日掲載予定のブログではPEご依頼時の注意点ついて
解説しますので、そちらもお読みいただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
おわり
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